Teratailをふらっと見に行ったら、少し面白い議論をしていたので。
どうもこんにちは、Infrabbitです。
システム改修「食品の消費税率0%」は難しいの?
なるほど。POSと集計の中央DBだけ考えるなら難しくはないでしょうね。
ネタ元になっているワイドショーを見ていませんので正確な話は何一つできませんけれど、だからと言って証人喚問しろとか、だれかの悪意だ、なんて論調はちょっといただけない、とは思います。
さて、実際に食品のみを消費税率0%にする、というのはどういうことを起こすでしょう。
まあ、まず真っ先にとりあえずPOSと中央DBですね。これはまあいいんですよ。皆さんおっしゃる通り、食品カテゴリを持つフィルタ条件で0%適用すればいい。ここでの現金出納にはそこまで大きな問題は、たぶんないです。多少めんどくさいケースがあるとは思いますが。
さて、POSレジとこのDBって結局何のためにあるのか、って話がここからです。
当たり前ですが、POSだけで完結しているケースはほぼありません。POSで集計したデータは、それをもとに在庫管理に連携し、経理の記帳と連動し、最終的には企業の基幹システムに乗り入れて帳簿を自動形成し、それをもとに税務処理が走ります。まあSAPだのERPだのという話ですよ。
で、ここの巨大システムに今のところ、「課税0%」なんていう項目とその税務処理を正しく行う仕掛けは、現状そんな課税構成がないのでおそらくは存在しない、という話です。税金ないんだから免税でしょ、とか非課税と一緒でしょ?というとこれはまたちょっと違いまして、税金かかってるけど0%と、この項目は非課税です、というのはおそらく税法上全く異なる対象になります。というかそれを処理するルール自体が基幹側にありません。
当然ですが、そもそも非課税ならインボイスなくてもいいでしょうけど、課税0%ならインボイス要りますよ、とか、読んだことないから知りませんが税法の分厚い法務処理でこうしろあーしろとたぶんいっぱい書かれていると思います。そもそもそこにも課税0%時というのがどう定義されるか分かったもんじゃないです。うっかり税率で割って、なんて処理がどこかにあればZero割なので、そんなこと起きないよね?をきっちりかっちり追い詰めないといけません。これは単に税率10%を変えればいい、という話ではなく、税率0%は税率1%と違って別処理を与えないとまずい、ということです。
税率で何かを割る、というのは普通やらないでしょ、って思うかもしれませんが、そもそもBIなんかで税率を売値にかけて、税額を出して、その税額で割合を出そうと思えば普通に割りうるんです、これ。
で、当然これ0%でやったら死にますね。非課税、免税類はこういった処理は非課税分類、免税分類で流れていることでしょう。でもモノは課税0%です。課税ルートでルール適用しないといけない。
POSと集権DBだけなら0%かけるだけなのでいいですが、これがSAPやERPに入り込めば、これを割り算に使ったっておかしくないですし、そもそも取り込みそのものに課税0%という項目自体がなく、バリデートされる可能性が高いです。こいつら基本的に厳密なので。
そもそも食品の販売時に課税0%だとして、じゃあ食品の仕入れはどう課税になるんでしょう? 原料は食品ですかね? SAPやERPみたいなのになると、仕入れから販売へのロジスティクスから台帳から管理しているわけです。トウモロコシ原料を購入して、半分を動物飼料、半分を食品用の缶詰にしたらじゃあこの原料は食品? 非食品? 課税制度としてどう扱うの? とか、ちょっと考えただけでも死ぬほど絶望感あふれてきます。原料だから課税されるの? でもトウモロコシをただそのまま生鮮食品として店頭に並べたらそれは食品ですよね? 販売形態によって課税制度が変わります、って税制としてまずくないです? とかとか。これが輸出入絡んだらもっとわけわからんことになりません? 食品自給率の低い我が国において、輸出入絡まない食品ってあまりないです。で、それらすべてで課税0%という特殊条件時に止まらない、あるいは例外処理がすでに入っている、というのを確認および修正していく作業です。これを1~2分でやれる人が居たら、ぜひお目にかかりたい。
で、SAPだのERPだのなんてほぼミッションクリティカルであり、0%にしてみてエラー出たから直しましょーとかそんなノリで止めていいシステムじゃないんですよね。これ止まると、企業が止まる。売上が億単位でちゃりんちゃりん損失をカウントするシステムです。
これを1~2分で直せますよ大丈夫ですよ!って言えるのはホワイトや誠実な企業じゃなくて、詐欺だと思います。だってリスクとまるで見合ってないもの、時間コストが。
このように、こういう外部相互連携まで加えてかんがみていくと、そもそもそれらの製品なんて一種類でもなければどっかで中央管理されているわけでもないですし、全システムがちゃんと対応できるようになるのっていつよ?ってなりません? A社さんの製品はこんなこともあろうかと!って0%例外入ってるかもだけど、B社さんの製品には入ってないです。で、A社の製品とB社製品を連携して当社は使ってます!なんて別に珍しくもなんともないです。むしろ連携してないほうが珍しい。製品だって2~3社程度で済んだら小規模な方でしょう。SAPなんてカスタマイズプラグインだけで1製品レベルでしょうしね。
つまりは、免税や非課税は項目あっても、課税0%なんて発生したことがないんですよ。それがちゃんと正しく動きますね、は結構なボリューム要求すると思います。いや、食品非課税ですよ、って話ならたぶんすぐ終わった話だと思います。でも政治的に非課税にはしたくない(というかそうしようとすると立法が必要なんでしょうね)、ので課税0%という逃げ道に逃げようとしたんでしょうが…。
消費税非課税、はおそらく既存の処理があるとおもいますが、課税0%でしょう? そんなルールセットたぶんないですから、POSとDBだけの話では収まらないです。現金出納だけ見てればイージーかもしれませんが、コトはそんなに単純じゃあないんじゃないかな、と。
これ、エンジニアしかしていなければたぶん直感的にはすぐできることじゃないの?って思ってしまうのはしょうがないかもな、と思います。自分で帳簿とかつけたりしてると、これきついだろ、って感覚になりますね。
そもそも税制ってすっげぇめんどくさいので。
ワイドショーでどこまで説明されていたのかわかりませんが、そういう基幹システムを含めた全対応、という意味なら(そして過去に国会なんかで言及されていたのは私にはそういう風に聞こえていたので)、そこまで違和感はない、というか一年で対応可能なんだすげぇな、くらいの感じがありますけどね…。

